今日は少しマジメなお話を
(いつもマジメではありますが)
先日、勉強会の先輩との会話の中での事
先輩「最近、山採りの雑木ばっかりを植えてカッコイイでしょ。って仕事をしているのが多すぎる!そんな奴はつぶさなきゃいけない!!」
僕「はあ、そうですかねぇ」
(ずいぶん荒っぽい言い方するなぁ)
と思いながらも聞いていました。
僕は美しいものが出来て、お客さんが喜んでくださるのなら
どんな物を作っても良いのではないかな?っと思います。
色々な作風の人がいるからこそ、お互いの違いが引き立たせ合い
どちらも魅力が際立つことになると思うので、
他人が何を作っても特に思うことはありません。
「いいな」と思うかどうか、だけを大事に
人の仕事を見ることにしています。
実際、僕もいわゆる「雑木」と言われる木を多く使いますし、
山採りの木というのは樹木畑で育てられた木と違い、
自然にしか作られないなんとも言えない美しい形の木があり、
またほかの木々と競争して、共存して育っているので
他の木と組み合わせると、とってもなじみが良いんです。
僕「そういうもんですかねぇ~。僕はまあ、それで実際にかっこよくて、お客さんが喜んでいるならいいと思いますけどねぇ」
もちろん先輩も普段から僕がそんな考え方であることは知っているのですが
その時はそんな風に答えました。
実はこの会話、先日東北に研修旅行に行ったときに夜の懇親会の中での会話だったのですが
その旅行の帰り道、セントレアからご自宅に先輩を送っていく道中
「ちょっと寄り道しても良い?」
なんて言われ、コンビニへ。買い物をしてから
先「ちょっと歩いて見てほしいものがあるんだけど」
僕「いいですけど・・・・??」
しばらく歩くと、とあるお庭に着きました。
何かの会社の駐車場や道路と建物の間のスペースにあるお庭です。
先「これ、どう思う?」
多分引き渡しを終えてから1カ月も経ってない新しい庭です
見ると、山採りのとっても雰囲気の良い雑木がたくさん植わっています。
たしかにカッコイイ。
・・・・・
でも、よくみると、
コハウチワカエデの背の高いものが、高木として他の木より高いところに・・・。
これでは日差しが強すぎて毎年ちょっとずつ上から枯れるかも。
反対にこの木は大きくなりすぎるから道路際に植えたら外に張り出して大変かも?
・・・・うん?窓際にこんなに茂る木を植えては窓の開け閉めもままなら無くなるぞ?
下草と芝生との取り合わせがおかしいので、すぐに芝生が茂り
この下草は埋もれて無くなるな。
ゴロタ石を芝生の中にゴロゴロと置いて、
これ石の間から芝生が伸びて手入れが大変だぞ・・・。
などなど・・・・。
一見すると雰囲気は良いのですが、3年後どうなっているかを考えると
「???」な部分の多い庭なんです
先輩の話によると、造園業とは別の業界の人が手がけたお庭で
実は木の名前すらも知らないような人らしいのです
(あっ、なるほど)
工事が完成したら、剪定などのメンテナンスもできないような業者のようです
僕「うーーん、この庭はお客さんに対する愛がない庭ですね」
先「そうなんだよ!でもさぁ、ぱっと見この庭カッコイイでしょ、すごく。そこが問題なんだよ」
なんとなく先輩のいう事が理解出来ました。
確かに見栄えはかなり良いし、引き渡ししてすぐは美しいことこの上ない。
写真映えも良いので「こんな庭、良いでしょ?」って宣伝すれば
一般のお客さんは飛びつくでしょうね
「インスタ映え」ってやつですか?
(僕はインスタグラムやっていないのでよくわからないのですが、こういう広告形態も増えているようです)
しかし、常々思う事なのですが、お庭というのは工事が終わった時が完成ではなくて
工事が終わった時からがお客さんにとっての始まりだと思うのです。
お客さんと作った業者が一緒になって育てていって、完成という物は無いのです
もちろん、「お手入れは自分でしたいから」というお客さんもいらっしゃいますが
いつでもお手入れに伺えるように、その時に説明できないような工事は、植栽はしない
将来を見据えたお庭づくりをするというのが大切ではないでしょうか?
僕の知っている同業者ではそんな困った仕事をする人はいないと思います。
しかし、そんな業者ばかりではないことも事実でしょうし、どこで見分けるのか
お客さんにとってはその判断は難しいでしょうね
それにしても、「つぶさなきゃいけない!!」はおおげさな
ほっておいても多分いなくなっていくものかな、と思いました。
でも
一時的にでもそんな業者がたくさん増えて、山採りの雑木のカッコイイ庭をたくさん作り
その後、見るも無残なお庭がふえてしまって
「結局、雑木の庭ってこうなるんでしょ」という印象がお客様についてしまったら
本当にある「雑木の庭の魅力」を発揮できる機会が減ってしまうことも考えられますね
先輩はそこを憂いていたのか
深い。
そんなことを考えさせられた東北研修旅行でした