COLUMN

2020/12/07

お庭の剪定 ーなぜ剪定が必要なのかー

お庭の剪定 ーなぜ剪定が必要なのかーの写真

お庭屋さんの年末は大忙し

 

っというのも、お正月までにお庭の剪定をして欲しいというお客様が多いのです。

 

この季節に剪定するのは色々な理由があります。

 

一番はやっぱりお正月をキレイなお庭で迎えたい、ですね

お家の大掃除もして、窓ガラスもきれいになって、車も洗車して、

お庭ボウボウ・・・、では。

 

そして、もう一つ。

この季節、木が休んでいる秋から冬に整えておくと、

春先、芽が動き出すまで、整った状態で長く楽しめる。

というのも良いところですね。

 

こう考えると、年末までに庭木の剪定をするというのは

木のためというより、人間側の都合という側面が大きいように思います。

 

 

じゃあ、庭木の手入れの適期っていつなんでしょうか?

その適期は木にとって?人間にとって?

 

これは地域にもよるでしょうし、樹種によっても違うと思います。

 

一言ではとても言い切ることが出来ないことだと思います。

 

僕は真夏を除いた季節ならば大体いつでも問題ないような気がしています。

 

この地方ではクロガネモチやマキ類などは寒い季節に剪定すると

ときどき樹勢を落とすことがあるような気がしますし、

大木になった木はそもそも、剪定すると弱るケースもあります。

 

 

 

そもそも、剪定って何のためにするのでしょうか?

 

お庭で剪定作業をしていると、

小さなお子さんがお父さんお母さんと一緒に歩いてきて

僕の姿をジッとみて

 

「あの人何やっているの?」

 

こんな場面が良くあるんです。

 

「お庭の木をさっぱりしているんだよ」

 

「なんで?」

 

・・・・なんでなんでしょう?

 

「木が元気になるカラだよ」

「風通しを良くして木を元気にするんだよ」

「木もさっぱりすると気持ちいいでしょ?」

 

なんて、ほほ笑ましい親子の会話が聞こえてきます。

 

僕もそんな時は、満点の笑顔で「ニコ!!」っと

お子さんに笑いかけます。

まあ、たいがいちょっと固まってしまいますが・・・・。

 

 

でも、ほんとうでしょうか?

自然にある森や林で剪定作業をするというのは聞いたことが無いですね

 

これもまた、人間の都合なんですよね。

お庭なので当たり前ですが。

 

植物が育っている場所では色々な、種類の植物たち、

あるいは同じ種類の植物同士でも、絶えず生存競争を繰り返して

淘汰され、新しいものが生まれて、ということを繰り返しています。

 

いつも同じようにしか見えない近くに雑木林でも

少しずつ変化しているのです。

 

お庭に植えられた植物は放っておくと

同じ様に競争をして弱いものはすぐに枯れて無くなってしまいます。

 

大事にしている物ほど枯れるなんていうのはあるあるですよね

 

そうならない様に勢いの良い木を剪定して

負けそうな木や低木に必要な日光を届けてあげる。

これも大事な事です。

 

そして、庭木が大きくなりすぎると、

庭全体のバランスが崩れて美しくなくなる、

お家に太陽の光が入りにくくなる。

雨どいに落ち葉が、、、なんてことも

 

つまりこれらも人の都合なんですよね

 

 

それでも木のポテンシャルは毎年上がり、

同じ大きさにしているつもりでも、少しずつ大きくなって

 

ある年、「大きくなるすぎたから切って!」

これが一番辛いことだし、自分の至らなさを痛感する瞬間でもあります。

 

 

そして、そうならないために僕たち庭屋さんが心がけていること。

 

それはなるべく庭全体の大きさのバランスを変えずに

なおかつ、一本一本の木もなるべく年中落ち着いた姿でいて欲しい。

 

それはどういうことか

 

それは木を落ち着かせること

毎年形を変えずにジワッと一回り大きくなり

毎年ジワッと一回り小さくなる様に剪定する

 

これが理想形でしょうか?

 

でも木を落ち着かせることと

木の樹勢を抑えることは少し似ていて

つまりは表現を変えれば、木を弱らせてやることにもつながるのです。

弱らせない様に、落ち着かせる。。。

 

そのバランスも考えながら剪定をする。

先ほど言ったクロガネモチやマキの話も

時に必要なテクニックというのも言えるのかもしれません。

樹勢の強いウメやイロハモミジは6月ごろに剪定すると

長い間落ち着いた姿で楽しめることもあります。

一般的な落葉樹の剪定適期とは違いますよね

 

 

そんなことを考えながら一年に一度、もしくは二度

同じ庭で同じ木を何年も何年も触り、その庭の木を知り尽くす努力をする。

カッコイイ言い方をすれば木と会話し続ける作業なんです。

 

庭木の剪定はお家の人でも気軽に楽しめるし、

そんな庭との関わり方も素敵なのですが

環境や木の状態によっても対応が変わり、

技術を極めようと思えば、本当に奥が深く

答えを探し続ける仕事でもあるのです。

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青木作庭舎