COLUMN

2015/10/15

気良石のおはなし

気良石のおはなしの写真

こんばんは、

書き始めると、続けて書きたくなります。

っと言うとすぐに書かなくなりそうですが・・・・。

今日はちょっと庭に使う材料のおはなしなんかを少し

今年の6月に庭の勉強会の一環として、
岐阜県の庭師さんのところにみんなで見学会に行きました。

そこで出会った石が

「気良石(けらいし)」です。

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こんな石

見学に行った日は朝方雨が降っていたので
雨に濡れた状態の写真です。

この石の特徴が良く出る使い方が「小端積み」です

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これが小端積みです。
石の面積の小さい方(小端)を表に出し、層状に積んでいく石積みです。

どうですか?洋風な感じにも和風な感じにもできそうな雰囲気

どっちつかずで僕みたい、いやっ、僕好みです

僕の作る庭は「都会の香り」や「ヨーロッパの息吹」
みたいなものでは無く、かといって「純和風」なものでもない
優しく、肩ひじ張らない自然な雰囲気が好きなので

・・・こんな石使ってみたい。

やはり、その土地に近いところで出る材料というのは
土地になじみやすいと思うのです。

この石積みはこの石を販売している方が積んだものです。
やはりこの石のことを知りつくしている感じで
大小のバランス、石の顔の選び方や適度な崩し加減
さすが!といった感じです。

何カ所かお庭を見せていただいたのですが、
ホントに顔の見せ方、積み方の硬さ柔らかさで
時に厳しく、時に優しく、時に明るく、時にしっとりと
色々な雰囲気を出せるものだと感心しました。

そんな石、積む機会がやってきました。

実は自分の仕事では無く、その勉強会の先輩の仕事のお手伝いで
この石積みの部分を任せていただきました。
しかしながらいきなりの難問でした。
今ある石組の上に小端積みしていくということ
しかも小端積みをすることを前提で組んだわけではない石組

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こんな感じ

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丸窓をくりぬいたりなんともムズカシイ。

しかも上から水を流すらしく、
水が流れて美しいように、あまりきちっと積まないでほしいとのこと。

最大の難所は

壁の中に埋まった石を見せながらの小端積み

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うーーん、

橋を渡す石の長さ厚み、位置を考えながらの作業
なにより石積み自体の強度がしっかりしてなくては
美しく見えないし、そもそも危ない。

うーーん。。。

でも何とか形になりました。

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この埋まった石が滝口の背石になるようなイメージで積んでみました。

下が池になる予定の場所なので足場も悪く
前の日に積んだ石に次の日足をかけれるように考えて
積んでいき

石をもって登って、降りて、ノミをたたいて、
また登って。
筋肉痛がもう・・・・。

優しい自然な雰囲気というより
「威厳のある日本庭園」
を意識しました。

いや、

「意識して」

なんてカッコ良く書きましたが

石をもって登って降りてを繰り返すうちに
「自然に」厳しい表情の石積みになったのかも・・・・・。

筋肉痛に耐える石積み
これこそまさに僕の目指す「自然の」いや「必然の」雰囲気

ってところでしょうか。

今設計中のお庭が正式に決まれば、
春にはまたこの気良石を使った石積みをする予定です。

今度は柔らかくつんでみようかな

自然にね

青木作庭舎